コンビニ本

突如として現れたコンビニ界の新星、それがコンビニ本だ。
病院の待合室、麻雀荘、友達の家、床屋、いたるところで見かける。
一度目にすれば止まらなくなり続きが読みたくなるだろう、しかしその願いは大抵叶わない。
なぜかいつも中途半端なところで終わり続きの本は置いてないのである。

そこには何とも言えぬと歯痒さと儚さがありいつも私の心を揺さぶる。
逆に潔すぎて清々しささえ感じる。
そう、人はビニ本から一期一会を思ふのだ。

なかでも私のお気に入りはプロジェクトXシリーズである。

このサイズと重厚感はコンビニ本の頂点と呼ばれても過言ではないだろう

これは定期的に足を運ぶ古本屋さんで見つければ買い集めているのだが、なかなか出会うことはない。巷ではビニ本界のミュウツーと呼ばれている。
こんなものが街中華に置いてあったなら私はもうその店しか通わなくなるだろう。

あとはこの教養コンテンツだ。


うーむ、下世話だ。下世話すぎる。私はいつもこの手の本を読むたび糞だなぁとしみじみ思う。
しかしこのシリーズは「文芸」「ミステリー」「サスペンス」「ホラー」「ファンタジー」「ラブロマンス」「思想社会」「歴史」「事件犯罪」「経済学」「マーケティングセールス」「金融」「投資」「歴史学」「社会学」「法律」「思想哲学」などなど、実に様々な要素が詰まっているのだ。読んだ後の胸糞感は否めないがトイレに常備したい一品なのである。それにしてもこの表紙デザインの絵師さんのセンスはどうなっているのだろう。ぜひ見習いたいものだ。

この先も私はビニ本を探しに古本屋へ向かうだろう。そこに並ぶユーザー無視のビニ本たちに出会い「高っけぇなぁ、誰が買うんだ?こんなもん」と思いながら気が付けばレジに並ぶだろう。
私は思うのだ、なんで今更「将太の寿司」に350円も払わなくちゃいけないのか、と。
しかし私はそれをグっと堪えてレジに並び一期一会を噛み締める。古本屋という名の茶室のもとで。

この隙間もないギッチリ感。まるで日本社会の縮図のようだ。
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